2007年06月16日

ある統計から

 先日、NHKで職場を辞めていく若者のことを特集していました。平成3年の調査では会社入社3年以内で約23%の離職率だったのが、平成15年の調査では36%の割合に上り、会社では若者が離職しないよう、様々な手段をとっているという内容でした。離職の理由としては、キャリアアップもあるが、会社内の人間関係がうまくいかず辞めるケースが増えているとのことでした。

 
この数字を見て愕然としてしまいました。確かに自分の合わない会社に嫌気がさし、まして人間関係に問題があれば、当然のように辞めたいと思うのは当然の成り行きだと思います。それは、今も昔も変わらないことで、だからこそ「石の上にも3年」などという、諺があるのだと思います。人間の歴史は種が生まれて以来、適応と知恵に支えられて生き延びてきたと言えるでしょう。これは、この先も人間が生きていく限り変わらないでしょう。

 
最近、教え子2人と話す機会がありました。1人はコミュニケーション・スキルを教える会社に勤めていて、もう1人はPSW(精神保健福祉士)をしていました。はじめの教え子からは、コミュニケーション・スキルを獲得するために、大学を卒業して2〜3年目の人が多く来るそうです。この会社が500名にアンケートを取ったところ、90%以上の方が会社や他の場所での人間関係に悩み、駆け込み寺のように来る方が多いということを聞かされました。また、これは大学時代まで自分の世界(テレビ、ゲーム、パソコン、携帯電話、携帯オーディオ等)に浸り、嫌いな人間や好きではない人間と関わらずに来たのが原因であろうと言っていました。

 
PSWの教え子からは、統計に基づくものではないと前置きし、経験及び体験、仲間同士の意見交換から判断する話をしてくれた。それは精神症の多くが表れるのが20代の前半で、社会的に適応が難しくなる年齢とのことだった。もともと性格上で特質があったとしても、学校へ通っている時期等は保護者の監督下にあります。そのために、それなりにカバーしてもらえて、逃げ帰る場所が確保できています。また、学生時代は苦手な相手とは距離を置いて生活することができます。しかし、社会に出た途端に人間関係が一変し、苦手な相手でも関わることを迫られ、保護者のカバーも及ぶところではなくなります。そうすると、発症を引き起こすことになるとのことでした。なんとかごまかして来たのが、20代になり自分で人間関係の構築をする段になると、関係が結べなくなり発症するのだろうとのことでした。

 NHKの特集にしろ、教え子の両者の話にしろ、子育ての山場は20代前半にくるのだと思いました。そして、若者が一般社会へ出て行くのに、ハードルが高くなっているのではないか。いや、ハードルが高くなっているのか、跳ぶ若者の足腰が弱いのか、私が結論を出せる状況にはありません。ただ、子ども達が社会に適応できなければ、保護者や他の大人に負担がかかってくることは確かでしょう。そうならないためにも、数多くの良質な体験とそこから導きだされる豊かな経験、そして、時に我慢などを学べる場を創出していく必要があると考えます。

(副代表 岡安)
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2007年06月10日

他尊心を考える。

 自尊心を前回書かせてもらいましたので、今回は他尊心について考えてみたいと思います。
 
自分を尊いと思う気持ちが育てば、そこから他者を尊ぶ気持ちも育つと私は考えています。ただし、「自尊心=他尊心」ではなく、自尊心が土台となって築き上げるものと思っています。そのために、築き上げるための方法が必要となります。
 
では、他尊心をいかに育てるかということですが、私は心理学者でも臨床心理士でもないので、専門家的な立場というより、社会教育現場や児童養護施設現場、あるいはキャンプ・リーダー等の体験や経験から学びとった、実践家としての立場から述べさせていただきたいと思います。
 
現代社会は他者を尊重するための、社会的なシステムが破綻している状況だと私は考えています。例えは、良いことではありませんが、困窮状況の時には、自ずから生きる目的や価値観は定まってきます。それは、第二次世界大戦争が終結した日本で、全ての国民が貧しい状況にありました。その時代、まずは貧しさから脱却しようと全ての国民が考え、弱い者であれば力を合わせて生活をしました。私の家の近くにも、昭和長屋が小学生の頃まであり、それこそ長屋の生活をしている方々がいました。
 
しかし、経済的に物質的に恵まれるようになると、生きる目的や価値観が変化し、多様になりました。現在では、その限度を超え「価値の多様」ではなく、「価値の暴走」になってしまったと私は思います。「勝ち組」などの言葉にも、他者に対する敬意が伺われるどころか、その不在を感じてしまいます。この様な状況にあって、子どもが他者を尊ぶ気持ちが育つのでしょうか、私の答えは「NO!」です。
 
では、真剣に他尊心を少しでも育てたいと思うならば、同じ目的に向かい協力し合い、互いを大切だと思える環境を整える必要があります。手前みそですがその環境を与えられる手段として、キャンプが挙げられると私は確信しています。

 
キャンプには様々な優れたところがたくさんあり、その幾つかを紹介します。

○ 日常生活から離れ、非日常生活を送ることにより、新しい自分を発見することができる(「新しい自分の発見」)
○ 生活の中で目標や目的を設定しても、テレビやゲーム等のさまざま な誘惑があり、1つのことを継続し深く考えることができません。しかし、キャンプではさまざまな誘惑が無く、1つのことを深く考える時間があります(「思考の深化」)
○ 家から遠く離れたキャンプ場の生活では、時に忍耐や我慢といったことを強いられます。しかし、現代社会の子ども達になかなか教えられないこのことを、自然と学ぶことができます(「忍耐・我慢の育成」)
○ キャンプで初めて知り合った友達と、会話し、仲良くしていかなければキャンプ生活は辛いものになります。自分のコミュニケーション能力を最大限に発揮する必要があります。この際にキャンプ・リーダーが子どもの力量を測りアシストするのは当然です(「コミュニケーション能力の育成」)等です。

 
是非、一度はキャンプに参加してみて下さい。少しだけ人生が豊かになることと思います。

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2007年06月02日

自尊心について

■ 自尊心とは

 キャンプについては、また後ほどいろいろと伝えていければと思い、ここでは少し子どものことについて少し述べてみたいと思います。
 子どものことを述べると言いながら、ここではまず、私たち大人のことを語らなければならないでしょう。なぜなら、言い古された言葉ですが、「子どもは大人の鏡」だからです。現在、大人の社会は異常な状況にあると言えます。子どもに対する虐待の増加、さまざまな殺人事件や事故、子どものことを語る以上に、私たち大人が真剣に自らを振り返り、考えなくてはいけないと私は感じています。では、何をどの様に振り返ればいいのでしょうか、その振り返りをするために、重要となるポイントが自尊心だと私は考えます。
 自尊心を辞書でひくと、「自分の人格を尊び、誇りをもって卑屈にならないこと」と載っています。では、私たち大人はしっかり自分の人格を把握しているでしょうか。人格を把握していたとして、その人格を尊んでいるのでしょうか。誇りを持ち、卑屈に生きてはいないでしょうか。私たち大人は自尊心を育てて来れたのでしょうか。こんな問いを聞いて耳が痛くなるのは、私だけなのでしょうか。 
 

■ 自尊心獲得の困難な道のり

 私はこの自尊心に、私なりの解釈をもたせたいと思っています。それは、自分が尊い存在と思える基礎は、何と言っても家庭にあるということです。人は生まれてすぐに自分を尊いなどと、お釈迦さんでもなければ考えないでしょう。では、どう学び取るのかと言えば、家庭の中で愛されて育つうちに、少しずつ子どもは自分の存在意義や存在価値を学び、結果的に自尊心の確立につながるのだと考えます。それは、単に溺愛すればいいというわけではありません。
 ここで問題が発生します。それは、仮に自尊心をもてない大人がいたとして、その大人が子どもと接するとしたらどうなるでしょう。妬みやひがみを子どもにぶつけてしまったら、その子どもはどう育つのでしょうか。また、愛されずに育つ子どもは、自分の自尊心を獲得することができるのでしょうか。自分の存在意義や存在価値に気づけず、自分を誇れない子どもは苦しみを抱えて生きることになります。

自尊心についいて述べてきたので、ここで興味深い調査結果を報告しておきます。ユニセフが経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち25カ国について、各種指標を比較しました。その中で子どもの意識に関する項目の中で「孤独を感じる」と答えた日本の15歳の割合は29.8%で、二位のアイスランド(10.3%)以下、フランス(6.4%)や英国(5.4%)などに比べて飛び抜けて高かったのです。孤独を感じると答えたワーストワンの国は、なんと先進国を自負し、物質的な豊かさを誇る我が日本だったのです。結果から30%近く(およそ3人に1人の割合)の子ども達が孤独と感じています。1位と2位の差がなぜこんなにひらきがあるのでしょうか?友達関係の問題もあるでしょうが、見本となる大人の不在こそが問題であるように思います。これは、全ての大人に向けられたメッセージとして、紳士に受け止める必要があると感じます。くどいですが、全ての大人がもう一度自分を見直す、そんな時代になっているのかもしれません。

(副代表 岡安)

posted by 社会教育関係団体 夢職人 at 10:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 子どもの育成に関する話